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大和国添上郡奈良餅飯殿町符阪家・中條家文書

近世文書151点。内訳は、箱1、箱2の符阪家105点、箱3の中條家文書46点。寄贈文書。
符阪家文書は、借用証文、預り状、奉公人請け状、金銭出入り帳が中心である。文書の宛名に「日野屋嘉兵衛」など日野屋の記述が多いことから、符阪家の屋号であったと考えられる。安永4年の「春日社太々御神楽」（7-2-78）は、南都八つ藤講の世話人が連署し、神楽の由緒、神楽料などを記したものであり、他にも春日神社と奈良町の関係が窺える文書がある。また、「大和国奈良絵図」（7-1-1）は年不詳であるが、江戸時代の奈良町に関する絵図である。
中條家文書は、上記符阪家に伝わった文書の一部で、中條家から符阪家への婚姻の際もたらされたものという。幕末の奈良奉行所与力中條良蔵(1800-1868)の奉行所執務に関する手控や著述を中心とするもの。奉行所文書には玉井家文書・橋本家文書があるが、幕末の与力の具体的な活動を知ることができる貴重なものである。特に、文久2年～慶応元年分が残る「庁覧」3冊（7-3-2, 7-3-4, 7-3-5） は、合計四百五十丁弱にも達し、幕末の緊迫した情勢に揺れ動く日々の奉行所の動向を伝えている。また、陵墓に関する記録も多く見えている。尊王思想により陵墓への関心が高まるなかで、奈良奉行所の業務にも陵墓に関するものが大きなウェイトを占めるようになったことが、こうした面からも確認できる。
中條家文書については、奈良市教育委員会『奈良市歴史資料調査報告書』一六、2000年 P46-53に、安彦勘吾による解説、目録、史料翻刻がある。本稿も同書解説に多くを依る。なお、前記報告書にある符阪家が餅飯殿町から小西町に移ったという記述から当初は文書群名を「小西町符阪家〜」としていたが、後に両家が別家であることが判明したため「餅飯殿町符阪家〜」と改称した。

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