女性学年報
Online ISSN : 2434-3870
Print ISSN : 0389-5203
最新号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 2023 年 44 巻 p. 1
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2023 年 44 巻 p. 2
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 社会的行為としての側面に着目して
    楊 芳溟
    2023 年 44 巻 p. 3-22
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス

     日本に赴任する夫に随伴、ないし日本在住の夫と結婚するために日本に移住した中国人女性は、言語・慣習・法律など多くの障壁ゆえに日本社会において周縁的な位置に置かれ、社会的孤立などの困難を経験しやすい。本稿の目的は、こうした女性らによるインフォーマル経済としての私人「代理購入(以下、代購)」活動に焦点を当てることで、この活動が彼女らの社会経済的位置および自己認識にどのように影響するかを解明することである。こうした変化は、移民女性についての従来の視点、すなわち、下方移動論とエスニック・ビジネス論では捉えきれないものであり、また、私人代購をもっぱら経済活動としてのみ捉える視点からも見えてこないものである。

     日本に随伴・結婚移住した中国人女性7名の調査を通じて、私人代購には経済活動として収入を得るという経済的価値があることがまず明らかになった。それだけでなく、私人代購を社会的行為として検討してみると、日本での生活のなかで疎外感と孤独感を感じた女性らにとっては、私人代購には日本社会と接点を持つ手段としての側面はもちろん、母国の人との関係を保つ手段としての側面があることがわかった。また、女性らは消費者との相互作用のなかで、他者から必要とされることを通じて自分の価値を見出しており、私人代購には承認獲得行為としての側面もあることが確認できた。しかし、中国人を対象に行う母国向けの経済活動の多くは中国語でおこなうことができるため、日本社会への統合の側面から見ると私人代購には限界もあることを指摘しなければならない。

  • 吉田松陰『武教全書講録』を中心に
    鬼頭 孝佳
    2023 年 44 巻 p. 23-39
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、吉田松陰『武教全書講録』「子孫教戒」における“女子教育”の提唱が、儒学と兵学の文脈において、武家男性による社会編成の“問題”としてどのように位置づけられ、女性が主体的に生きるうえでどのような課題を含んでいたのかを問うている。第2章では、過去の先行研究の多くが、松陰を「良妻賢母」論の枠組みでとらえることにより、『武教全書講録』全体の性格をあまり問題にしていないことを指摘した。続く第3章では、『講録』が基本的には武家男性における文武の統名としての「武」に関わる「修身」を問題としていることを明らかにした。また、女性教育に関する叙述を含む「子孫教戒」も、基本的には統名としての「武」、もしくは戦闘に直接または間接に関わる「武」に関連させてしか読み得ないということを改めて確認した。そのうえで第4章では、「子孫教戒」の女性教育論に着目し、松陰が対内・対外情勢に関する危機意識から、「パクス・トクガワ―ナ」(徳川の平和)への過渡期に編まれた山鹿素行の叙述を、夫に対する殉死に関わる死の先験的自覚として“昇華”することにより、女性集団が自発的に夫(と夫が忠を尽くす天皇=国)の望む「節烈果断」の徳(と将来の子孫創出)を果たす主体=従属形成を目指す社会編成論として読み替えたと結論した。女性が自ら「決断」し、女性によって教育される教育制度の確立が必要だと松陰が述べている以上、松陰の議論には結果的に女性の教育機会を広げ、女性解放に資するところがあったという可能性まで否定はできない。だが少なくとも松陰の社会編成に関わる意図に関する限り、形式的には女性個人の解放のように見えそうな「手段」ではあっても、実質的には女性集団に対する男性集団の支配を、より洗練させた側面が否めず、その影響は社会貢献と権理承認を引き換えに実現してきた“銃後”の日本人女性の今日までの社会進出にも深く影を落とし続けているのではなかろうか。
  • 公私の両領域の高い段階での再統一という観点からの検討
    遠山 日出也
    2023 年 44 巻 p. 40-60
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス

     筆者はこれまで、近代家族は、その基底的特徴である家内領域と公共領域の分離を高い段階で再び統一することによって乗り越えられると論じてきた。「高い段階」と言う理由は、前近代の共同体に戻るのではなく、自立した個人の家族や国家を超えた相互扶助を実現するからである。

     公私の両領域の高い段階での統一は、新自由主義がもたらす社会的変化とは方向が逆である。しかし、ナンシー・フレイザーは、第二波フェミニズムと新自由主義の親和性を指摘している。筆者自身も、日本の左派とフェミニズムの一部にある程度そうした傾向が見られること、その背景には、資本主義と家父長制との二元論的理解があることを述べてきた。本稿の第1章では、近代家族論の専門家でありながら「官製婚活」を肯定する山田昌弘にもまたそうした傾向があることを論じる。また、江原由美子のフレイザーに対する応答に関しても、フレイザーの持つ資本主義批判の視点をより生かすことによって、より的確なものになることなどを述べる。

     また、家内領域と公共領域の分離の乗り越えは、高い段階の「統一」である必要がある。すなわち、平等主義規範が家族の壁を打ち破るだけでなく、相互扶助を家族や国家の枠を超えて広げることが必要である。さらにそれを人類の枠を超えて「自然」にまで広げるためにはエコロジカル・フェミニズムが重要だが、エコフェミは現在の日本では発展していない。本稿の第2章では、その原因を1980年代のエコフェミ論争に遡って検討し、当時、青木やよひを批判した側が、青木のエコフェミの独自の意義を捉えていなかったことを述べる。さらに、その後のエコフェミの発展も踏まえて、エコフェミを含めた、女性が先覚的におこなってきた社会的再生産のための運動は、近代家族の乗り越えやフェミニズムにとって独自の意味があることやその発展のプロセスを示す。

     今後の課題は、一部の左派やフェミニズムにおける新自由主義との親和性の問題とエコフェミの立ち遅れの問題とがどのように関連しているかについて、より具体的に明らかにし、それを通じて、今後のジェンダーをめぐる理論と運動のあり方を考えることである。

  • 当事者の語りから従来の言説の捉え直しへ
    武子 愛, 児島 亜紀子
    2023 年 44 巻 p. 61-79
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
    軽度の知的障害がある女性たちの性産業従事に関するこれまでの言説の多くは、彼女たちを性搾取の被害者として捉えるものであった。本研究ではその捉え直しを行うべく、性産業従事経験と婦人保護施設の入所経験があり、かつ軽度の知的障害のある女性たち2名に聞き取り調査を行った。分析枠組みとして反抑圧アプローチ(AOP)における抑圧と抵抗の概念を用いた。結果、彼女たちにとって性産業従事は、周辺化・無力化されにくい場所であり、抑圧に対して抵抗することができる、主体的な行動を発揮しやすい場所であることが明らかになった。
  • 2023 年 44 巻 p. 80
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2023 年 44 巻 p. 81
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 『女性学年報』第44号編集委員会
    2023 年 44 巻 p. 82-85
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2023 年 44 巻 p. 86-87
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2022年12月~2023年11月
    2023 年 44 巻 p. 88-89
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2023 年 44 巻 p. 90
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 『女性学年報』第44号編集委員会
    2023 年 44 巻 p. 91
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 2023 年 44 巻 p. 92
    発行日: 2023/12/16
    公開日: 2023/12/16
    ジャーナル オープンアクセス
feedback
Top