本稿では幕末に幕府直轄学校洋学所が出版した洋学係官板について,その誕生背景や特質,及び近代出版に与えた影響について解明することを試みた.幕府は洋学を統制していたが,開国後は一転して活版印刷設備を駆使しつつ洋学所などから洋学系官板を刊行した.この官板と,一般読者を考慮するなど補充的に刊行された「準官板」が,明治初期の,特に教育分野の出版物の雛形となるなど,近代出版物に影響を与えたことを示した.
図書館でデジタル出版は電子書籍の導入と,紙資料のデジタル化の二つの側面で考えることができる.電子書籍の導入拡大と電子書籍故のメリット,紙資料のデジタル化に関する著作権法改正を踏まえ,図書館におけるデジタル出版の役目を考察する.
本論では,電子書籍の登場によって可能となった「マイクロコンテンツ」の手法を,デジタルアーカイブで公開される人文学資料に応用した「人文学資料マイクロコンテンツ化」について述べる.人文学資料から一部分を取り出し自由に活用することが可能となったのが「人文学資料マイクロコンテンツ化」で,人文学資料に新たな活用可能性を生むとともに,現実世界の情報との接続という別の課題ももたらす.
NPO法人HON.jpが主催している出版創作イベント「NovelJam(ノベルジャム)」について概説する.NovelJamとは,「著者」「編集者」「デザイナー」が1カ所に集まり,お題に基づき小説作品を執筆,編集,校正,制作,出版までを数日間で行う,いわゆる「小説ハッカソン」だ.商標登録登録番号6115964号.イベントを通じて得られた知見は,大学でのデジタル出版演習授業へフィードバックしている.
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